今月の東京アセット・パートナーズの月1勉強会の講師は、映画監督の藤元明緒さんでした。

藤元さんはうちの会社で一緒に頑張って下さったヤダナさんのご主人で、アジアを題材にした映画やドキュメンタリーなどの制作活動を行っています。

ヤダナさんが働いてくれていた7-8年ほど前は、1本目の長編作品を撮影・編集されている頃で、旦那さんは映画監督とお聞きしても「え、本当に??」と思っていました(ごめんなさい)。

その後、完成した映画『僕の帰る場所』は第30回東京国際映画祭「アジアの未来」部門2冠など受賞。

長編二本目となる『海辺の彼女たち』は、国際的な登竜門として知られる第68回サンセバスチャン国際映画祭の新人監督部門に選出されるなど確実にステップアップされています。

今回の勉強会では、フツーの映像系の学生から一気に映画監督になった藤元さんがどのような軌跡を描いていたのかをお聞きしたのですが、そのお話自体が映画になりそうな面白い内容でした。

-バラエティー番組を作ろうと思って専門学校に通っていたら、フラッと入った小さな映画館で、映画の魅力に引き込まれた

-専門学校の短編の卒業作品が、有名評論家の目に留まり、海外で上映するも、批判をあびる

-普通は映画監督を目指す時に映像系の会社に就職して40代ぐらいでなるのを目指すところ、若いころは寝れないと聞いて一気に監督を目指した

-バイトをしながら撮影をし続けるも、本当に公開できるのか、観てもらえるのかという不安をしながらの毎日を過ごす

-撮影をしたものの、「もう少し色はこうしたら」「音はこうしたい」「つながりはこう」と編集しているうちに3年がかかり、あまりの時間に支援している人で離れてしまう方もあった

-作品ができたものの、配給会社が決まらず、自分たちで映画館を1つずつ営業して、やっとの思いで上映まで漕ぎつけた

-出来た作品が多くの方に観てもらい、賞を受賞することで応援していたくれたメンバーがまた戻ってきてくれた

などエピソードが楽しすぎて、予定の時間があっという間に過ぎてしまいました。

さて、そんな藤元さんは映画を通じて、”学び” ”考えてもらう” ということを目指しているそうなので、それであればノンフィクションを撮影した方がいいのではないか?
とお聞きしたところ、

「ノンフィクションよりフィクションの方が”本当”に踏み込めると考えています」

という言葉をもらいました。

解説してもらうと、ノンフィクションは、ノンフィクションを撮影している方の都合が結構入ってしまい、撮影される側とする側の

”長い時間をかけた深い人間関係”

がなければ、その後、ノンフィクションを撮影された側が
-あの場面を流してほしくなかった
-あのコメントだけを切り取ってほしくなかった

といった問題が起こりやすく、その責任を藤元さんは持ち切れないと考えているそうです。

だからこそ、ノンフィクションでなく、フィクションである映画をいかに本物に近づけるかを考えているということが非常に面白かったです。

そのため、演者さんも

-あまり役者さんでなく、素人さんを使う
-台本も渡さず口頭でこんな感じと伝えて、変に覚えてこないようにする
などの演出にこだわっているそうです。

さて、藤本さん。

現在は、新しい作品の準備中の期間で、順調にいけば来年の冬には新作が観れるそうです。

藤元監督、素晴らしいご講演ありがとうございました。
新作の企画もお教え頂きましたが非常に興味深かったです。上映を楽しみにしています!!